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第1回 「Web研」レポート

デジタルスケープがスタートした新しいセミナーシリーズ「Web研」。ユーザーのネット行動の変化に合わせて、サービスを提供したり制作するクリエイターもビジネスパーソンも変化を迫られているのでは? ということで、漫画研究会(漫研)や広告研究会のように、研=テーマを持って集まる会をイメージし、全5回の予定で実施されます。

このセミナーは、「Web検定 標準ガイドブック制作プロジェクト」の企画協力の下に実施されたのですが、第1回はプロジェクトメンバーの長谷川恭久氏境祐司氏を迎えて実施となりました。

当日の資料はPDFファイルをダウンロードいただけます。第1部:長谷川恭久氏(約6.2MB)第2部:境祐司氏(約4.4MB)となっておりますので、映像と併せてご覧ください。

第1部:CGM時代のWebの「使い方」

冒頭の「ブログやっている人はいますか? ポッドキャストやっている人は?」という質問に、意外に手をあげた人が多く、少しとまどい気味のスタートとなった長谷川氏。今日のテーマのCGMとは、Consumer Generated Mediaのこと。



口コミサイトやSNS、ブログ、Web2.0系のサービスなど、ユーザーが生成していくメディアを指すわけですが、そんな時代のWebサイトやサービスの担い手だからこそ、「開放性」「拡張性」「透明性」をもって、使い手として「まず使ってみる・体験してみる」ことが重要と長谷川氏は言います。



.第1部:長谷川泰久氏「CGM時代のWebの使い方」


お話の後半では、「次代のUIのヒントは映画にある」ということで、いくつかの映像が紹介されたました。長谷川氏のブログ「COULD」でも紹介されたものですが、HTMLやCSSなど各仕様の正しい理解や実装の重要性は前提として、組み合わせの妙であるCGMからさらに進んで全く新しいユーザー体験を生み出すには、それに囚われずにWeb以外からもヒントを得ていくべきでは? というメッセージが込められていたように思います。

長谷川氏が進行しながら境氏とのやりとりを交える、両氏のポッドキャストでの競演を彷彿とさせる和やかなものでした。

CGM時代のWebの「作り方」

第2部は立場を変えて境氏が進行。業界黎明期、Webデザイン企業だった会社が10年を経て細分化された業態に変容している、との紹介からスタートしました。境氏はWeb標準に準拠したワークフロー変革のためのコンサルティング業務にも多く関われているとのことですが、「作り手」の変化への危機感は強いようですね。



業界黎明期からの流れを踏まえ、「マークアップというHTMLの本来の概念に立ち返ったのが今」と境氏。標準化が進みにくいインターネットにあって、会社やプロジェクト単位でのルールづくりが重要と言います。教育現場でも教えるべき標準の認識にバラツキがあって混乱しているようですね。



.第2部:境祐司氏「CGM時代のWebの作り方」


Webデザイナーの役割が複雑化・高度化しても、優秀な作り手は業界トレンドや模範作例から、暗黙知を自然に吸収することに変わりありません。違いがあるとすればソーシャル・ソフトウェアが発達した現在は、そうした個人の知を、組織や組織間で共有しやすい状況にあると言えます。

そんな状況をいかに活用できるか。CGM時代の作り手に問われる能力・センスとは、境氏の表現では「Pastiche(混成)」とのことです。

セミナーを終えて

業界の黎明期からWebを見続け、多くの業界企業の盛衰や、次代を担う人材を育成する現場も見ているお二人の話にはいくつかの刺激的なキーワードを感じることができました。そして今、アドビ社の Apolloやマイクロソフト社のWPFなどの技術に代表される、「脱ブラウザ化=デスクトップアプリケーションの世界」がそこまで来ています。

さらに次代の使い手や作り手はどこに向かうのか。皆さん、「Pastiche」を意識してぜひアツい現場を体感してみてください。