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「契約書作成の知識や図解されたプロジェクト計画の流れが特に役立った。」Webディレクション試験で幅広い実務スキルを習得!

2017年に創業し、Webシステム・APIやアプリの開発・運用やUI/UX・デザイン・分析などITデザインを中心にさまざまなクリエイティブ分野で業務を行うcrage(くらげ)株式会社。同企業では、ディレクター全員の取得を目指して「Webディレクション試験」の取得を推進しています。試みが始まって1年、すでに数人のディレクターが「Webディレクション試験」を取得。この試みをスタートしたきっかけや、現在までの効果などについて伺いました。

★インタビューに答えていただいた皆さん

crage(くらげ)株式会社
ディレクター・渡邉大記さん
ディレクター・松木悠輔さん
ディレクター・町田杏樹さん

■「Webディレクション試験」を社内ナレッジとして活用

「Webディレクション試験」(正式名称:社団法人 全日本能率連盟登録資格 Web検定 Webディレクター)は、プロジェクト立ち上げから工程管理、現状分析、さらにアクセス管理や集客施策の立案など、Webディレクションに関連する実践的な内容が広く学べる検定試験です。この試験に合格すると、「Webディレクター」資格を取得することができます。


 crageでディレクター部門の採用面接を担当する渡邉大記さんが「Webディレクション試験」を知ったのは、中途採用応募者の履歴書に書かれた「Webディレクター資格」という文字でした。


「第一印象は“こんな検定資格があったのか”です。興味を持って過去問をベースにした模擬テストを受けてみたら、経験者の私がすでに知っていること(仕事としても理解できていること)が6割、フワッと知識として持っていることが3割、知らなかったこと1割くらいというバランスでした。知らなかったことも知っておきたいと思うジャンルで実践的な内容だったし、広範囲な知識が学べる内容だったので、実務者向けの検定だな、という印象を持ちました」(渡邉大記さん)

 同社の人材採用は、そのほとんどが経験重視の中途採用。即戦力の方が入社することも多く、すぐに実務でご活躍いただくことが大半。そのため、研修などは決められていませんでした。。

「これまでは、入社後すぐに実務に向けて組んだチームで働きながらスキルチェックを行い、足りない部分は補い合う、あるいは、勉強会を開いてメンバー同士が持っているノウハウやナレッジを共有する、というやり方でやってきました。しかし、当然ながらこのやり方は一緒に働くメンバーのスキルに依存します。仕事内容によってはそれぞれの知識やノウハウがかみ合っていないこともありました。Web検定を知ったのは、“ディレクション”という仕事に対して、網羅的、体系的に学べるものを必要としていたタイミングだったんです。それに、Web検定はちょっと勉強すれば合格に手が届く適度な難しさがあって、合格時には達成感が得られることも良かった。そこで、中途採用後の社内ナレッジとして検定取得を目指す、というフローを取り入れてみたんです」(渡邉大記さん)


 とはいえ、Webの世界は情報も技術もスピーディに進化します。すでに働いているとそれなりに知識も身につけているのに、わざわざ検定試験に取り組む必要があるの? と考えることもあるかもしれません。現在のcrageでは、採用面接時に「入社後、およそ3か月以内に(会社負担で)Webディレクター資格取得すること」を伝えています。その反応は概ね好意的で、転職の機会だからこそあらためて学び直したい、新しい知識を身につけたい、と前向きに捉える方が多いそうです。

 数ヶ月前にcrageに入社し、Webディレクター資格を取得した松木悠輔さんも「(Webディレクション試験に取り組むことになって)良いチャンスがもらえた」と言います。「意外と用語の意味や使い方をきちんと理解できていなかったり、Webディレクターという仕事の内容や守備範囲に曖昧さを感じていたんですよね。この機会にそれがクリアになるのは自分にとってもプラスになるのではないかと思いました」

 一方、同じく入社後にWebディレクション試験を受けることになった町田杏樹さんは、「以前から検定に興味はあったけれど、Webディレクターとしての実務経験もあったので、検定は本当に必要なのかな?」と思っていました。しかし、新卒で入社した前職からcrageに転職したこともあって、「やはりベースをしっかりと身につけておきたい」と気持ちを新たに受験しました。

おふたりとも入社から実務と並行した受験勉強(公式テキストや動画を見るなどの自主学習)を続け、2〜3か月で合格したとのことです。

■Webディレクションという仕事がよりクリアになった



 Webディレクション試験に挑戦したおふたり、実務をこなしながらの試験勉強は、大変な面もありつつ発見や学び直しもあり、実のある時間になったようです。


「最初は試験内容の幅広さにちょっと面食らいました。中には、自分が普段あまり関わらない工程も試験対象に含まれていて驚きましたが、実際に自分が担当する場面になった際に役立った知識も多くありました。特に、テキストでいうと72〜77ページの「契約書」の部分ですね。ディレクション業務の中で携わっていないと学ぶ機会が少ない書面作成に関連した知識が得られたことは大きかったです。仕事内容に応じた契約書の作成や確認が行える、その一般的な記載方法を理解して実践できているという点は、トラブルを事前に防ぐことにも繋がっています。今までフワッとした知識しかなかった事柄もクリアになりました」(松木さん)


※『Webディレクション 第3版』
72ページから77ページより。



「前職では直接クライアント様とやり取りする機会が少なく、制作内容や方針が決まっていることがほとんどだったため、プロジェクトの上流の工程については大まかな知識しかありませんでした。crageに入って初めてクライアント様と直接やり取りすることになり、67ページに掲載されているプロジェクト計画の流れがとても勉強になりました。プロジェクトの上流の工程や、そこで使用される資料など、全体を俯瞰できる知識を身につけた状態で打ち合わせや提案に臨めるのは良かったです」(町田さん)


※『Webディレクション 第3版』67ページの図より


 クリエイティブ分野に限らず、同じ業種・職種だとしても会社によって部署が細かく分かれていたり、役割分担の範囲が違ったりすることがあります。転職して業務に慣れるまでには、その違いにとまどうことも多いでしょう。

 資格を取得したおふたりは、「試験勉強を通じてフロー全体を理解し、俯瞰できているため、こうした違いやギャップが少なくなった実感がある」と言い、これが「経験者がWebディレクション検定を受験するメリットではないか」と話します。それまで実務で覚えてきた事柄ひとつひとつは“点”でしかなくても、検定試験のための学びによって繋がり1本の線になる、より深い提案ができる。こういったことも検定試験に取り組むメリットと言えそうです。

「すでに体験したこともあらためて公式テキストなどで学び、再び仕事で体験していくことで、学生時代の試験勉強にはない腹落ち感が得られます。目の前にある業務への取り組みも深まって、面白さも感じられると思います。それに、試験の受け方がオンラインとオフライン(用意された試験会場で受験する)と選べて、1年の間で何度も受験機会があることも社会人向きの資格ですよね」(渡邉さん)

 crageがディレクターチームの社内ナレッジにWebディレクション試験を採用して1年。まだ対象者は少ないものの、その効果は大きく、在職者からも「試験に取り組んでみたい」という声も挙がっているそうです。今後はWebディレクション試験を社内プロジェクトとして、会社としてもサポートして活用していくとのことです。


TEXT _西村希美

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